速度低下の原因と対策


6、ルータの不具合による速度低下

  •  初期出荷時のPPPoE対応ブロードバンドルータの中にはファームウェア(動作させるためのソフトウェア)に問題があり、速度低下や特定のサイトが表示できないものがある。

  •  そのような現象を感じるようならば、メーカのホームページから最新のファームウェアをダウンロードして、アップデートをお勧めする。

  •  また、ルータには、WAN側ポートとLAN側ポート間のスループット性能があり、この間のスループットが不十分な場合は、当然、通信速度は発揮できない。

  •  ブロードバンド対応機種の中にも、WAN-LAN間スループットが1.5Mbps以下のものある(たとえば、ISDNとADSLの両方に対応可能で人気のあるMN128-SOHO PAL B&Iは、フレッツADSLを対象に開発されたため、現行機種では、WAN-LAN間スループットは1.3Mbpsであり、フレッツADSL1.5Mメニューに最適になっている、2001年11月/2日現在の情報)。今後、YahooBBのような8Mbps(実効速度上は、3Mbps前後)や家庭向けの光方式Bフレッツの10Mbpsのようなブロードバンド利用までを見据えて、ブロードバンドルータを購入するならば、カタログスペックのWAN-LAN間スループット性能もチェックすべきだろう。

  • 最近のブロードバンドルータには、MTUを設定できる機種も多い(設定項目が、MSSの場合は、MTUの値から、40バイト引いた値にする、フレッツ対応ルータでは、MSSの値は、最初から、1414Byteに設定されている)。

  • 最近のルータでは、MRUネゴシエーション機能により、機器間でMTUが決定されることが多く、接続上のトラブルはほとんど見られなくなっている。

■ 技術的解説

・ルータを使用しないで、パソコンとモデムを接続して、フレッツ接続ツールにより接続する場合は、MTUは、1454バイトに設定される。

・ブラウザでWWWサーバへアクセスすると、ブラウザはサーバへ受信可能な最大セグメント・サイズ(MSS)を通知する。

・MSSは、通常、MTUからIPとTCPのヘッダーの40バイトを引いた数値になる。すなわち、フレッツADSLでは、1454-40=1414バイトである。

・フレッツ接続ツールを利用している場合は、ブラウザは、MSS値を1414バイトに設定するので問題は生じない。

・ブロードバンドルータを利用する場合、パソコンとルータはLAN(イーサネット)で接続されるため、ブラウザは、イーサネットでの標準的なデータサイズ(MTU)1500バイトから、MSS値を、1500-40=1460バイト と誤って設定してしまう。そのため、フレッツADSL網で規定しているPPPoEのパケットサイズを超えてしまうのである。

・この不具合が判明してから、各ルータメーカはPPPoE接続の場合は、WWWアクセスのデータサイズを監視して、MSS値が1414バイトを超えている場合は自動的に1414バイト以下の適切な値に設定を変更する機能を付加している。


補足

・MTU(Maximum Transmission Unit)

ネットワークの物理的な媒体において、1回の送信で送ることのできる最大のデータのサイズ。たとえばイーサネットなら、最大1500bytesまでのデータを送信することができる。これより大きなサイズのデータを送りたければ、上位プロトコル側で、MTUサイズに合うように分割して送る必要がある。

・MRU (Maximum Receive Unit)

ネットワークの物理的な媒体において、1回に受信できる最大のデータのサイズ。たとえばイーサネットなら、最大1500bytesまでのデータを受信することができる。MRUを超えるサイズのデータは受信できないので、場合によっては通信に先立って送信側にMRUを通知しておく必要がある。


7、ウィルス検出ソフトの不具合へ


8、フレッツADSLの定石

9、些細な対策(ブラウザの設定を含む)