ADSL入門



1、ブロードバンド

 簡単に言うと、「広帯域」ということで、通信速度が速いものと思ってもOKです。
逆の言葉で、「ナローバンド」と言う言葉もあり、これは狭い大域、すなわち通信速度が遅いものです。

現状では概ね、200Kbit/s以上の速度で通信できるものをブロードバンドとして呼んでいます。

ブロードバンドの通信方式としては、ADSLや光ファイバ伝送、無線、衛星などあります。

光ファイバ伝送は、FTTH(ファイバ・トゥ・ザ・ホーム)として、将来的に光ファイバを各家庭まで引いて、より高速な通信を可能にする技術で、現在、フレッツBとして、月額1万強でNTT地域会社からも提供されています。
現状ではインターネットマンションなど集合住宅に引いて、各戸で共同利用する形態が多いようです。


2、ADSL(非対称・デジタル・加入者線)

 現在、交換所から家庭までの電話線(加入者線と呼ぶ)は、銅線のケーブル(メタリックケーブルと呼ぶ)で引かれています。
将来は、これが光ファイバに代わる時代が来るでしょうが、現状ではこのケーブルを使って、電話とインターネットを利用する技術が使われています。 今までは、ISDNがその代表でしたが、インターネットの通信速度としては64Kbit/s で言わば、ナローバンドの部類です。

ADSLの非対称(Asymmetric)とは、送信速度と受信速度が異なることから命名されているものです。
事業所などの構内で、建物と建物の間で通信する技術では、送信も受信も同一速度で行う方式のSDSL(対称でSymmetric)という方式がよく使われています。

これらの方式以外にも、複数対の加入者線を使うHDSLやADSLをより高速にしたVDSLなどの方式があり、これらを総称して呼ぶ場合は、xDSLと呼びます。

 ADSLは、もともとビデオ配信の技術として発達したため、家庭で受信する速度を最大にして、逆に送信する速度はそれほど必要なかったため受信に比べて低速に設定されています。

  1回線で、上り(送信)最大1Mbps、下り(受信)最大8Mbpsの速度で通信が可能ですが、これは、理論的な最大速度で、実際には交換所からの距離や同一ケーブル内の他回線との影響などで、速度は低下します。しかし、低下したとしても、ISDNよりも高速であればメリットはあるでしょう。

 ADSLには、フルスペック版(1.1MHzまでの帯域を使う)とその半分のハーフレート(552KHzまでの帯域)版がありますが、日本ではISDN回線とADSLの帯域が重なり、影響があるために特別な仕様が使われていました。
 それは、Annex-Cと呼ばれるもので、ISDN回線と同期をとって、影響のあるタイミングで速度を可変する方式で、地域NTTの提供するフレッツADSLでは、この方式が使われています。この方式では、上り(送信)最大512kbps、下り(受信)最大1.5Mbpsです。

 当初、NTTでは、SDSLで、ISDN回線自体もDSLにのせて伝送する方式で、ISDNとDSLの両立を計画(IoDSL - ISDN over DSL)していましたが、近年の大幅な情勢の変化で、 Annex-CでなんとかADSLを実現した経緯がありました。

  しかし、影響があることを承知でフルスペック版のADSL方式を導入した外資系のYahoo!BBの参入で、情勢は大きく変化しようとしています。

 フレッツADSLで使用されている周波数帯域の上限はG.Lite方式なので 552kHz、Yahoo!BBではG.dmt方式で 1.1MHzとなっています、ケーブルの距離による損失は周波数により指数関数的に増大するので、高い周波数を使うYahoo!BBでは、交換所からユーザー宅までの距離が遠くなるにしたがって、大幅に線路損失が増え、速度低下だけではなく、通信不可能になってしまいます。

 Yahoo!BB方式では、概ね2.5Km前後が実用的な速度が得られる限界ではないかと思われます。高周波伝送ではさまざまな外的要因による影響を受け易いので明確な数字は出せないのが現実です。Yahoo!BBの最大8Mbpsは少々誇大広告で、あくまで最大という意味です。実際には距離が1km以下で条件が良くて、4〜6Mbps前後出れば良いほうでしょう。

 2001年9月からサービスを開始したYahoo!BBは、距離制限の問題で、比較的、交換所近辺に収容されている確率の高い都市部では有利ですが、地方都市部では、ケーブル長が交換所から7Km近くある場合もあり、Yahoo!BBがまともにサービス提供が出来ないケースが多数あります。安価にサービスを提供するYahoo!BBでは、よりたくさんの加入者が集まらなければ、採算が取れません。その対策として、最大8Mbpsの看板をあっさりおろして、長距離伝送に適したタイプのモデムを提供することにした動きの早さはすばらしいと思います。

 Yahoo!BBでは、距離的に難しいユーザーには、米Paradyne社が開発・販売する「ReachDSL」というDSLモデムを使用します。このモデムは、最大速度は、1Mbpsですが、周波数帯域の上限を160kHzと低めに抑えることで距離制限を伸ばし、ケーブル長が7Kmであってもサービス可能だとしています。フレッツADSL方式でも4Kmを超えると速度低下が著しくなり、5Kmでは余程好条件がそろわないとまともにサービス提供できる範囲ではありません。

 ReachDSLの技術(QAM変調)では最大周波数を低く抑えたため、外的要因による影響を受けにくいので、距離が2.5Km前後あるために、速度が500Kbps以下しか得られない場合には、最大8Mbpsがうたい文句の通常のYahoo!BBモデムより、最大1MbpsReachDSLモデムに代えてもらったほうが、速度が上がる可能性は大いにあります。


3、接続方式 ADSL

 本来、ADSLネットワーク内では、ATMという高速な通信技術を使っています。この網へ接続するためにADSLモデムが用いられるます。
フレッツADSLでは、NTTのADSLのネットワーク内のアクセスサーバへ接続して、ADSLユーザであることを確認して、指定されたプロバイダへ接続する方式がとられています。
それぞれ、接続する際には、認証という確認作業が必要ですが、この機能を実現するために、PPPプロトコルという技術が使われますが、最初にADSLでPPPを利用するために、PPPoAという仕組みが考え出されました。ADSL(ATM)上で、PPPを使うという技術です。

 しかし、PPPoAの機能をパソコン側に持たせるのは、技術的にもコスト的にも無理があります。そこで、パソコン間での通信として広く普及しているイーサネットLAN方式を利用する技術、PPPoEが開発されました。

 これは、イーサネット上で、PPPを利用する技術です。具体的には、パソコン上でPPPoEソフトは、IPをカプセル化(丸ごと一つ、入れ物に入れて伝送するもので、薬のカプセルを連想してください) して、イーサネットで、ADSLモデムと通信します。そして、ADSLモデムは、それをADSL(ATM)で伝送します。

 また、一部のADSLサービス業者の中には、ADSLモデム自体にPPPoA機能を持たせた方式を使っているものもあります。

 フレッツADSLでの、接続の流れを簡素化して説明すると、

1、接続ツールで、ADSLモデムを介して、NTTのネットワーク内のアクセスサーバへ接続する。
2、アクセスサーバは、ADSLのユーザ確認を行う。
3、認証が完了したら、送られてきたIDの@マーク以降から、ネーとワークの内の指定されたプロバイダの認証サーバへ認証を求める。
4、プロバイダのサーバが認証に成功したら、PPPoEソフトはIPアドレスの割り当て等をプロバイダへ求める。
5、プロバイダから、インターネット接続に必要な情報を受信して、 インターネットの利用が可能になる。


4、接続方式 Yahoo!BB

 上記の接続方式は、ATM網をバックボーンとして、構築するためのものです。技術の移り変わりはめまぐるしく、ATMは、パケットを53バイトのセルと呼ばれるカプセルを高速でスイッチングするシステムで、フレームリレー方式と並んで、高速で安価な伝送方式でしたが、音声伝送の64Kbpsを意識して、策定された53バイトというセルの単位は既に、時代遅れになりつつあります。音声伝送網へIPを乗せる時代から、IP伝送が主体になり、逆に、IP網に音声を乗せる時代になり、今やIPをわざわざ、セルという単位に分解する必要はなくなりました。

 ほんの数年前には、高価だったスイッチと呼ばれるLANの機器も、今や、数万で手に入るようになり、イーサネットLANの速度は、100Mbpsは当たり前になり、今やファーストイーサは、ギガビットを超えようとしている時代です。

 ダークファイバの開放(光ファイバの芯線自体を貸し出す)に伴って、ATMを利用しないで、単純にIP網を構築したほうが、ランニングコスト面でも、保守面でも、有利になってきており、ATM方式はやがて、消えていくのではないかと思われるほどです。そこに目をつけたのが、Yahoo!BBで、他の事業者に真似の出来ない低価格でサービスを提供できる秘密の一端はここにあるのではないかと思われます。

 Yahoo!BBのサポートに問い合わせたところ、Yahoo!BBモデムはブリッジとして動作し、単純にYahoo!BBのネットワークへ接続し、端末はIPアドレスの割り当てを受けるれば、インターネットの利用が可能になります。プロバイダ自体も兼ねているので、PPPoEのような認証手順は不要で、単にIPネットワークへ接続するだけです。LANケーブルを接続して、パソコンを立ち上げれば、OKということです。


5、さらなる高速化技術(2002/9月追記)


★ 参考となる基礎知識

・音楽CDなどは少しぐらいの傷がついても再生に影響がない場合の方が多いですよね。昔のアナログレコードでは、すこしの傷でも、確実に再生に影響が有りました。ディジタルの世界では、0と1しか有りませんから、この2つを正しく判断できる範囲であれば、アナログと違って、少々のことでは影響を受けないのです。

・このデジタルの強みを持った方式がISDNで、周りから雑音などの影響をうけないで安定して通信が可能ですが、デジタル信号というのは、0から1への変化が激しいので、専門的に言うと非常に高周波な成分を必要とします。

・周波数は、波に形容できます。緩やかな波は、波の頂上から、波の谷への変化がゆっくりです。これは、低い周波数と言います。

・逆に、非常に変化の激しい波は、短い時間の間に、波の頂上から、波の谷へと変化します。つまり、短い時間の間に多くの波があることを高い周波数と言います。

・デジタル信号を波に当てはめると、1と言う状態から、0という状態へ瞬間的に変化するのが理想です。この変化はつまり、短い時間に波の頂上から、波の谷へと変化するわけで、非常に高周波な成分を持つことになります。

・単純な言い方をすると、周波数が高くなると、それは電波となって、電線から飛び出してしまいます(電線がアンテナとなってしまうイメージですね)。高い周波数の成分は電線から逃げ出してしまうので、遠くまで信号を伝えることができません。

・そこで、高い周波数の信号を電線に閉じ込めるケーブルとして、同軸ケーブルと言うのがあります。これは、TVアンテナとTVと繋いでいる丸い電線がそうです。TV電波の高い周波数を電線に閉じ込めるため、中心に配置した芯線の周りを丸く、囲むように、網状に編まれた銅線が覆っています。

・しかし、この同軸ケーブルは、太いので敷設するスペースが必要なのと、比較的高価です。

・そこで、とんでもない周波数、メガ・ギガ・テラと言った単位の高い周波数を伝えることができる方式が考え出されました。それが、光ファイバーです。髪の毛よりも細い芯線の中に光を閉じ込めて、信号を伝えるのです。ファイバーは、透明度の高いガラスで、周りは鏡です。光は、鏡に反射されて、ファイバーの中から飛び出さないで、反射しながら、伝わって行きます。

・清んだ湖や池、浴槽の水でも構いませんが、上から覗き込むと、水底が見えますね。でも、斜めに見ていくと、ある角度で水底が見えなくなり、水面が鏡のように、景色を映しだしてしまいます。光ファイバーの中も同じような状態です。まっすぐな光ファイバーケーブル内では、光は、ケーブルの表面に斜めに当たるため、反射して逃げ出せません。

・光ファイバーを曲げていくと、水底が見えるような角度になった時点で、光は逃げ出してしまいます。そして、もっと曲げると、ガラス成分であるファイバーは折れてしまいます。

・このような理由で、光ファイバーは電線のように、束ねてはいけないのです。光が逃げ出さない角度を保ったまま、輪を作って束ねます。

・すこし、話がそれましたが、普通の電話線のケーブルでは、デジタル信号は周波数が高すぎて、限界があります。

・そこで、考案されたのが、デジタル信号を、アナログ信号にして、信号を送る方法です。これが、DSLと言う技術で、送信と受信の速度を変えたものが、ADSLです。

・ADSLのAは、非対称と言う意味です。インターネットでホームページを見るときは、サーバからデータを受信するばかりで、送信する情報の方が圧倒的に少ないので、送信速度を抑えて、受信速度を速くしたのです。

・アナログ伝送の仕組みは理論的には非常に難しいので、単純なイメージだけで説明してみます。高さが10の波で、信号を送ると仮定します。デジタルでは、波の高さが0〜4までを”0”ビットに割り当てて、5〜10の高さの波を”1”ビットに割り当てて、0と1の信号を伝送します。

・減衰したり、雑音を受けて、波の高さが、2になっても3になっても、”0”は判断できます。これが、デジタルの強みです。

・アナログでデジタル信号を送るとすると、波の高さが0は”0”ビット、1は”1”ビット、 波の高さが2は、次の情報の”0”ビット、3も次の情報の”1”ビットと言うように、0〜10の範囲の波の高さに、それぞれ、信号を割り当てます。すると、10の高さの波を”0”と”1”の二つの信号に使う場合に比べて、5倍の情報を伝えることができます。

・これが、1秒間に行なわれると考えると、デジタル方式では、毎秒1ビットの情報(0か1の情報をひとつしか伝えられません)。

・1bps(ビット・パー・セカンド)、1b/s、1bit/sec、1ビット/秒などと速度を表現します。

・アナログでデジタルを伝える方式では、同じ時間で、5種類の情報を伝えることができるので、速度は毎秒5ビット、5b/sとなります。

・その代わりに、減衰や雑音の影響を受けると、”0”と”1”の判断は誤ってしまいます。速度が上がる代償として、精度が低下するわけです。

・実際には、ADSLでは、あらゆるアナログ技術を駆使して、デジタルの情報を伝えます。周波数も電線で伝えられる限界に挑戦しています。そのため、ケーブルの距離が長くなると著しく、損失が増加して、信号を伝えることができなくなるわけです。

・もう一度、音楽CDの話に戻ってください。読み取り面に傷がつくと、さすがにデジタルでも正しく読み取ることが出来なくなります。そこで、データの誤りを調べるために、余分なデータを付加する方法を取っています。

・一番、単純な誤り検出方法を説明すると、10ビットのデータで考えると、1ビット目〜9ビット目の合計9つのビットがデータだとします(参考までに、ここでは馴染みやすい1〜10で説明していますが、コンピュータの世界では、0から考えるので、0〜9ビットの合計10ビットで考えるのが普通です)。

・そして、9つのビットのデータのうち0が偶数個含まれていたら、10ビット目に”1”をセットして、奇数個含まれていたら、”0”をセットしておきます。

・読み取るときに、10ビット目を読んで0が偶数個含まれているデータなのか、奇数個含まれているデータなのかを調べて、9つのデータの偶数・奇数を調べて、それが合っていれば、データには異常なくて、奇数のはずなのに、偶数になる場合は、誤り(ビットエラー)と判断します(パリティー方式と言います)。

・この方式は、誤りが2つ発生すると、偶数・奇数の判断が誤ってしまうため、比較的誤りが生じる可能性が低い場合や他の検出方式と組み合わせて使われます。

・実際には、数学的に複雑な計算をして、その結果を書き込んでおき、読み込む時に同じ計算をして、答えが一致しない場合にエラーを検出する様々なやり方が使われています。

・計算式により、誤りを検出しても、答えと一致するように、誤っている情報を直して、正しいデータに戻す技術があります。これが、エラー補正機能です。

・このエラー補正機能により、音楽CDに傷がついても、計算で復元できる範囲であれば、正しく再生できるわけです。

・減衰や雑音の影響を受けやすいADSL方式にも、エラー検出や補正技術が使われています。補正の限界を超えて、エラーを検出した場合は、自動的に、通信速度を低くして、安定した通信が出来るように調整します。このため、ユーザーの環境毎に通信速度の差が生じるのです。

・一時的な影響で、自動的に速度を低下させた場合でも、影響がなくなっても、その速度のまま通信が継続されることがあります。そこで、設定を変更したり、速度が低下している場合は、モデムのリセットを行なうと、速度が回復することがあります。

・はっきりとした資料はないのですが、最近のモデムでは、自動的に、通信状態を最適に保つ機能が付加されているのではないかと思います(希望的な推測ですが・・・)。

・ISDNでは、交換所との間で通信速度が変化することはありません。エラーが多発すると通信不能になるだけです(ある程度は、エラー補正機能でカバーして通信を維持します)。


■ 高速化技術

  • 制御信号の使い方の改善やエラー訂正符号方式の工夫、帯域の拡張など様々な方式が検討され、12Mbpsサービスには、様々な方式を組み合わせて速度向上を図っている。

  • 12Mbpsサービスで利用される技術のなかで、代表的なものは、S=1/2,フルビットローディング,トレリス符号化,Annex A.ex(アネックスエーイーエックス),C.x(シードットエックス)などがあり、各社ともこれらの技術の中から、複数のものを組み合わせて、高速化を実現している。

  • S=1/2,フルビットローディングは、各社とも取りいれている。どちらも、1回で運ぶビット数(情報量)を増やす方法で、いずれもADSLで通信できる限界近くまで、無駄なくビットを詰め込む方法で、S=1/2では、通信環境が良いユーザーでないと、効果を十分に発揮できない。

    S=1/2では、ADSLでは、ノイズが発生してもある程度、補正できるようにあらかじめ、エラー訂正用の信号を余分に入れてある。これは、リードソロモン符号と呼ばれるが、通信環境のよい(収容所からの距離が近くて、伝送損失が少ない)ユーザーにとっては、訂正用のデータは必要としない部分も多く、効率が悪い。そこで、エラー訂正用のデータを乗せる部分に実際のデータを乗せることで、高速化を図る。だが、これは、通信環境がよいユーザーに限られる高速化方式でもある。


  • フルビットローディングでは、チップの改良で従来困難だった数のビットを搬送波に割り当ているもので、この方式は、通信するすべての帯域で効果があるので、通信条件がそれおほどよくない環境のユーザーでも、減衰が少ない帯域での改善効果が期待でき、わずかではあるが、改善効果がある。もちろん、ケーブル長さが1km前後の通信環境が非常に良いユーザーは、より多くの効果が期待できる。

  • エラーを検出して、訂正する技術を向上させて、より多くのビットを伝送する技術が、 トレリス符号化で、この符号化・復号化には複雑な処理が必要なため、高速処理が可能なあらたなチップの登場で、実現できたものである(eXtreamDSL方式)。この方式は、当面、イーアクセスのみが採用している。この恩恵を受けるユーザーもフルビットローディングと同様である。

  • Annex A.ex(アネックスエーイーエックス),C.x(シードットエックス)は、上り(送信方向)の低周波帯領域をうまく使って、速度向上をするもので、上りと下りの信号が混在するので、受信側で、送信した信号の返り(エコー)が混ざらないように、エコーキャンセラという技術を使っている(オーバーラップ技術とも呼ばれる)。

    また、 C.xは、ISDNやデジタル専用線などの干渉の影響を受けないようにタイミング制御も行うが、Annex A.exは、それらを考慮しないYahoo!BBのみが採用する方式である。そのため、Yahoo!BB方式は、同一ケーブル内に収容された他の回線の影響を受けやすい。また、他社のADSLにも影響を及ぼすと言う意見もあり、情報通信技術委員会(TTC)でも問題となっている。

    減衰の少ない低周波帯を活用するので、通信条件が悪いユーザーでも効果は期待できる。特に、ケーブル長が5kmを超えて、従来、ADSLが利用できなかったユーザーでも、速度は遅いながらも、利用可能になる可能性がある(最悪でも500kbps前後の速度が期待できると言われている)。


◆ さらに以下の技術も検討されており、最大16Mbpsのサービスも登場する可能性もある。

  • もっとも単純で、効果的だと思われる方法に、今まで、使われてなかった、0〜26kHzの帯域を使う方法がある。

  • この帯域は、音声すなわち電話で使う帯域である。

  • 電話と共用する場合は、スプリッタで、この帯域を分離して、電話とADSLを同時に利用できるようにしている。

  • だが、電話を使っていない場合やタイプ2の電話を使わないプランでは、この帯域は空いている。

  • そこで、電話で使われていないときは、この帯域もADSLで使う方式が検討されている。

  • 電話を使っている時は、この帯域は電話に譲るので、電話と同時に使っている間は速度は低下するが、一般的に電話の方が利用されている時間は短いので、確実に速度向上が望める方法だ。

  • また、この場合は、低い周波数帯なので、線路距離に関係なく、速度向上効果が期待できる。