★ リンクスピードとは、ユーザー宅のADSLモデムと電話局の集合モデムDSLAM間の通信速度で、この低下の要因としては
@ 収容局までのケーブル距離(概ね2.5Km〜3kmを超えるあたりから、極端に速度は低下する)
距離の問題は、現状では、YahooBBの提供するReachモデムなどに頼るほかない。
A 収容ケーブル内に他のISDN回線や高周波を利用する専用線が収容されている場合の干渉
フレッツADSL方式では、電話局からの信号送出タイミングで制御する方法で影響を抑えているので平均的にみれば、影響は少ないが、このNTT方式を採用してない事業者の場合は、影響を受ける。
対策は、NTTへ調査依頼して、その可能性が高い場合はケーブルの収容替えをしてもらう。
しかし、たまたま、条件のよいケーブルに空きがあった場合で、もちろん、工事料金も必要なので、最終手段として検討事項のひとつとして考慮しよう。
ケーブル収容の問題は、現在は非常に少なくなったが、電話が主流だった頃は、交換所から電話機へは48ボルトの電源を供給(現在でもそうだが)しているため、ケーブルの接続は、芯線を手ひねりで接続するのが当たり前だった。電圧がかかっていれば、ハンダ上げなどをしなくても接触不良を起こすことはなかった。
その後、専用線というデータ通信のための回線が増えてきて、この回線は電話ではなく、データ通信をするための機器がつながるために、ケーブルに電圧をかけることはなかった。手ひねりの個所があると、電圧が低い場合は、空気に触れる部分では腐食をおこし、皮膜を生じるために接触不良が発生する。
これが原因での専用線故障を防ぐため、NTTでは手ひねり接続個所のほとんどを半田上げや圧着接続へ変更しているが、まれにもれがあるらしい。また、ブリッジタップの存在もある。これは、宅内へケーブルを引き込む際に、電柱に敷設してあるケーブルから、一部の芯線を取り出す(電柱に敷設されているケーブルの中には複数の線が収容されている)ため、分岐させる(ケーブルを切って取り出すわけではない、そのようなことをするとケーブルが分断されてしまい、有効利用できなくなる)。
この分岐させて、宅内へ引き込んだ部分(あるいは、別のルートのケーブルへ接続する場合もある)がブリッジタップである。
このブリッジタップは、回線が廃止になっても残っていると、通常の電話回線では影響はないが、データ通信においては、波長の整数倍という条件に分岐ケーブル長が合った場合は、反射という現象が起きる。これが、ノイズとして影響を与える場合がある。
ISDNや専用線の普及で多くのブリッジタップは回線の廃止に伴い、撤去されているが、まれに残っている場合がある。これも、NTTに調査を依頼して、外してもらうことが出来るが、調査や工事費用が多少かかる(工事規模や条件により異なる)。
その他、ほとんどなくなったが、ケーブルの品質が影響を与える場合もある(古いケーブルには絶縁体に紙が使用されている場合があった)。しかし、現在ではほとんど張り替えられているそうだ(正確なところは公表されてないが)。
B 引き込み線や屋内配線の問題
★ 電柱からの宅内へ接続するケーブルを引き込み線と呼ぶ。この線は、保安器という機器に接続されてから、屋内用のケーブルに接続される。保安器は落雷防止と切り分け点(分界点)の意味で必ず設定されている。
通常、工事は保安器で線をショートさせて、ループ抵抗を測定してケーブルの良否を確認するので、引き込み線部分でのトラブルは少ないだろう。保安器には保守者が出向かなくても、リレーを遠隔で動作させてケーブル状態を調べることが出来るようになっている。
しかし、このリレー付の保安器の6PTという型番の初期出荷バージョン(6PTタイプ1)にはADSLで使用するときに不具合を起こすものがある。具体的な例は、ADSL利用中に電話の着信があると、ADSLのリンクが切断されるような現象だ。まれにリレー接点の接触不良でリンクスピードの低下を起こすことも考えられる。
6Pという型番にはこのリレー機能がないので、故障時には保守者が出向くまで、切り分けができないがこのような問題はない。また、新型の保安器にはそのような問題はない。
電話着信時にADSLが切断されるときは、NTTの116へ故障として、うまく交渉すれば、無料で交換してもらえるケースもある(電話回線的には故障ではないとの理屈で、最悪、実費として、数千円請求される場合もある、最初の116への申告の仕方がポイントだろう)。
また、NTTといっても実際に来て工事をするのは、下請け会社なので、担当者次第という感じもある(この辺が曖昧ですっきりしないところである)。
★ 接続は、MJ(モジュラージャック)から、スプリッタで、そこから電話とモデムに接続するわけだが、リンクスピードに影響するのは、電柱からMJまでの配線の問題ある。この配線は素人には調べられる範囲ではないが、MJの記載されている記号を確認できたら、みてほしい。
NMJ-2C などと、Cの記号があったら、コンデンサ内蔵タイプと見てよい。これは、電話用の雑音防止用のもので、余分な周波数成分をカットする役割がある。電話回線にはありがたい機能だが、ADSLでは、必要な周波数成分がカットされて、通信速度低下の要因になる場合がある。
★ 他に、ブランチといって、1本に電話線に何台かの電話機を接続している線があったならば、すべて、切り離して、電柱から引いてある、いわゆる引き込み線がMJへ接続され、そのMJに2重に別の線が接続されてない状態にしなければならない。
MJから複数の配線がなされていたならば、前述のブリッジタップの場合と同様に速度低下の要因となる。ブランチ接続で複数の電話機をつなぐ場合は、スプリッタを通した後で行う。
★ 上記に関連することだが、引き込み線がまず、ドアホンの集合ボックスへ収容されている場合は、収容ボックスへ接続する前にスプリッタへ接続して、スプリッタの電話線端子から、ドアホンの回線側へ配線し直すのがよい。
★ また、マイラインの関係で外した方も多いだろうが、外付けのLCR(電話会社選択装置)もトラブルのもとだから外して、直接、引き込み線をスプリッタへ接続するようにしよう。
■ なお、上記のような対策を施した後では、モデムの電源をいったん切って、10秒ほど待って再度入れて、モデムの再立ち上げ操作を行うとよい。
なんだか、動作が不安定なときにも、とりあえず試してみるとよい。